昼間。山の近い場所。民家は結構あるが、田舎。
旅行のお土産を渡す約束で、女の子の友達と会う。お互い、年齢は不明だが、私はピンク、友達は水色の、小学生が乗るようなプラスチックのカゴのついた自転車に乗っている。

渡すという約束で待ち合わせをしたはずだったのだが、友達の待っている場所まで自転車で行くと、もう渡しているということになっており、本当に可愛くて、大事に使っていると言われ、私も喜び、あれどこで買ったんだっけ。あっ、■■だったかな確か、等と会話をしながら、自転車を走らせる。

長い坂道に差し掛かり、そこを下って行くと、なにか、抱えるくらい大きな毬のようなものが沢山後ろから転がってくる。私と友達は、その光景に驚いている様子はなく、他にも人がいたけれど、気にしている様子はない。

様々な色や模様があり、その中に友達が好きそうなものがあって、私は目で追っている。坂道が終わると、それを拾い上げて、これ■■みたいじゃない? と、友達に見せると、私も思ってた、と照れたように返される。

何か用があったのか、唐突になのか分からないが、坂道の横に、民家に隣接した小道があり、私達は、今下って来たばかりなのだが、自転車を引いて戻るようにその小道を登り始める。

家と家の間を縫って通るような道を歩き、笑いながら話していたのだが、ふと顔をあげると、平凡な民家の窓に掛かっている生成色のカーテンの真ん中が、丸くくり貫かれているのを見つける。

部屋の中は真っ暗なのか、何も見えないと思い、じっと見つめると、そのカーテンの穴にぴったりはまるようにして、人間がこちらを見ていることに気付き、私は強い痙攣のような衝撃を受けるが、実際にはむしろ、硬直したように動けなくなっていた。

どくどくと心臓を鳴らしながら、そこを通り過ぎるのだが、通り過ぎるまでに好奇心に勝てず、数回カーテンをちらちらと見てしまう。通り過ぎた時もまた、最後にそれを見て、怖かったなぁと呑気に思いその場を去る。


平屋の団地の道路を挟んで真向かいに、トンネルのある不思議な場所へ出ると、(夢の中では特に気にしていない様子)トンネルとは反対方向にある十字路を目指し、私と友達は自転車を引いていく。友達は不自然に無言で、私はそれに違和感を感じている。

何故か背後が強烈に気になり、振り返ると、あのカーテンの奥にいた人間がトンネルの前に立っていて、(初めの地形だと、振り返った場合、右手にトンネル、左手に団地があったはずなのだが、急にトンネルが団地の方へ移動していた。が、それに対して違和感は感じていなかった。)裂けたような口で笑いながらこちらを見ている。センター分けの肩くらいまでの黒髪に、真っ白な肌、おかめのような輪郭。男か女かは分からない。青空で明るい景色の中、そいつだけが薄暗く佇んでおり、目は白く光っているように見える。

私はすぐ、跳ねるように走り出し、とにかく人のいるところまで行かねばと無我夢中になり十字路まで行くが、手前で友達が着いて来ていないことに気付く。振り返ると、友達が、あいつのように笑いながら、トンネルへゆっくりと引き寄せられるように入って行っているところで、私は声にならない悲鳴をあげたあと、■■!!!!■■!!!! と、友達の名前を叫ぶが、全く聞こえている様子がない。

よく見ると私は走り出した時に投げ出していたのか、トンネルの手前くらいにピンク色の自転車が横たわっており、すぐに逃げ出したかったが、一度戻ったとしても自転車に乗った方が早いと考え、友達の名前を叫び続けながら引き返すが、その間も友達はトンネルへ入って行ってしまっている。

自転車に辿り着いても、友達は変わらず、目の前にいるのだが恐ろしくて触れることが出来ない。が、逃げてしまうことも出来ず、私は何かの知識を思い出したのか唐突に友達に向かって、通りゃんせ!!! と叫ぶ。と、友達の顔付きが明らかに変わり、正気に戻る。私は結局自転車には乗らず、ぼーっとしている友達の手を引き走って、再び十字路を目指す。

後ろを確認している余裕はなく走り続け、十字路の手前まで来てやっと、トンネルを確認すると、怒った顔のあいつがトンネルの前から歩き出そうとしていて、私はまた、通りゃんせと叫ぶ。するとあいつの動きがびたりと止まり、私は道路を渡り切ってしまうが、車通りのある中、あいつの声が頭に響く。

■、■、■、■■、■■ちゃんと、友達に、■■ちゃんが欲しい、■■が、■■ちゃん、と、低い不安を煽る声が、途切れ途切れに、口にしているのは私の名前で、姿は見えないが、まだあいつが私達を追ってきているという確信がある。

通りゃんせ、と言うと何故かそいつの動きは止まるが、動きが止まるだけで逃げられる訳ではないらしく、私はどうやったら逃げ切れるか、どこまで追い掛けられるのか考えながら、何も話さない友達を引き摺るようにして、走り続けていた。